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治験薬概要書や治験実施計画書などが改訂されたとき、原文の変更箇所だけを翻訳するよう依頼されることがあります。そのような改訂版案件を初めて打診されたときは、前版の邦訳版がすでにあるんだから新規に翻訳するよりもずっと楽に作業ができるんだろうと思って気軽に引き受けました。ところが、実際にやってみると、作業負担も心的ストレスも予想以上に大きく、新規の翻訳よりもずっと大変な思いをしたのでした。

はじめて担当した改訂版案件は、改訂版原文の変更箇所のみを、前版邦訳版のWordファイルに変更履歴付きで加筆・修正する、というものでした。このような案件では、原文の変更箇所が邦訳版のどこにあたるのかを確認して前後の流れに沿うように訳出するのはもちろんのこと、用語や表記、語順、言い回しなどを既訳の他の箇所とも合わせる必要があります。前版の既訳があることで、固有名詞や定訳のない用語、複数の訳語がある用語などの調査にかかる時間が少なくて済むというメリットはありますが、 整合性を保つために前版の原文と訳文を何度も確認したり、慣れない編集作業に四苦八苦したりと、翻訳以外の作業負担がかなり大きくなります。

このため、翻訳料のほかに「編集料」などの名目で料金が加算されることが多いのですが、全体の作業は前版邦訳版の善し悪しに大きく左右され、割に合わないことも多々あります。どういうわけか、前版の邦訳版は訳文だけでは意味がわかりにくい逐語訳であることが多く、用語が統一されていなかったり誤訳があったりすることも少なくありません。こういう「よくない」邦訳版に当たってしまうと、大変な手間がかかり、作業はとてもストレスフルなものになります。

自分で責任をもって品質を確保すべき範囲についても悩ましい限りです。前版の邦訳版で疑問点や用語の不統一、誤訳などを見つけてしまったら、ついつい熱心に調査をし、根拠をあげて修正訳を提案したくなってしまいますが、依頼されているのはあくまでも「変更箇所のみの翻訳」。これに対して与えられる作業時間と報酬で改訂版全体の品質を確保するのは到底無理なので(というか、求められていないので)、ある程度のところで折り合いをつけなければなりません。言葉と文章に愛着とこだわりがあり、完璧を求めがちな翻訳者という人種(?)にとっては、このさじ加減が難しいのです。

・・・のようなわけで、率直に言うと私は改訂版の案件が苦手・・・。なので、スケジュールが合わないために堂々と辞退することができるときは内心ホッとしていたりします。

ただ、最近では、改訂版の翻訳でも、翻訳支援ツールで作業することができる案件や、前版の邦訳版は参考程度に参照するだけでよく全文を翻訳させてもらえる案件もありました。翻訳支援ツールで作業する場合は前版邦訳版と整合させるための確認が楽な上に面倒な編集作業をする必要がなく、全文を翻訳させてもらえる場合は既訳があることのメリットを利用しながら比較的自由に翻訳することができます。

改訂版の翻訳は案件によって報酬や作業方法が異なることがあるので、打診を受けた時点で、報酬が妥当であるかどうか、翻訳以外の作業がやりにくくないかどうかを確認し、要望があれば、受注する前にコーディネーターさんに相談するといいと思います。

例えば・・・これまでの数少ない経験の中でですが、下記の1)、2)の相談で、作業内容に見合った報酬を支払っていただくことと、作業を効率化してストレスを低減することができたので書いておきます。

1)翻訳料のみの報酬で改訂版案件を打診されたとき、「改訂版の翻訳では前版邦訳版との整合性を保つための確認作業や編集作業が必要なため、通常は編集料などの名目で別途料金をいただいております」と伝えて、お支払いについて検討していただくようお願いした。

2)前版邦訳版のWordファイルに変更履歴付きで加筆・修正してくださいという依頼を受けたとき、前版の対訳を翻訳支援ツールにセットしていただけるかどうかを確認した。



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複数の翻訳会社と取引をしていると、せっかく新規の案件を紹介していただいてもスケジュールの面で対応が難しいことがよくあります。スケジュールが完全にバッティングしていて到底請けることができない場合は辞退せざるを得ませんが(他の翻訳者を早く探してもらえるよう、断るときほど返信は早く)、内容次第では間に合うかも? とか、いつもよりがんばれば間に合うかも? とか思える微妙なスケジュールの場合は辞退するかどうか悩ましい限りです。


メインの取引先になりつつある某翻訳会社は、登録されて間もない頃にスケジュールが合わず打診を辞退することが多かったせいもあってか、この頃は大抵、作業開始予定日まで間がある案件や比較的納期に余裕のある案件を紹介してくれます。それでも提案されたスケジュールに対応できそうにないこともあり、そういう場合には、対応可能な分量や最終的な納期をコーディネーターさんと相談しながら決めています。


今回は、おもしろいほど納期が延長された案件の話です。


作業期間が7日間しかないため1つのプロジェクトを分割しての打診 → 後半の3日間しか作業できない状況だったので辞退 → 対応できる分量をお知らせくださいとの連絡があり、3日間でできそうな分量に再分割 → クライアントから「プロジェクトを分割せずに1人の翻訳者にお願いした場合、いつ頃納品できるか」との問い合わせ → 10日以上かかると返事 → クライアントがOK。


納期に余裕がありクライアントが品質を優先してくれたおかげで、作業開始が4日先になり、7日間の予定だった作業期間も3日延長、さらに週末をはさんだため、結果的に納期は11日も延長されました


このように、案件によっては、納期に関してかなり融通が利くことがあるようです。提案された納期への対応が難しい場合は、決して無理を承知で受注したりせず、コーディネーターさんに相談して品質(と自分の健康)を確保することができる日程や分量に調整してもらってから受注するようにしましょう。ただし、多少の無理は自分にとっても有益なので、どうしても担当したい案件は厳しめのスケジュールでも請けたほうがいいかもしれません。


それから・・・プロの翻訳者なら当たり前ではありますが意外と難しい大切なことは、 常に、そのままクライアントに納品できるレベルの翻訳物(ケアレスミス、誤記、誤訳、表記ゆれ、スタイル違反などがない。原文の誤りや裏取り調査の内容、訳語の選択理由、不明な点などについて適切なコメントを入れてある・・・etc.)を納品するつもりで丁寧に作業するということ。校正などの後工程に手間がかからない翻訳者だという信頼が得られていれば、納期についての交渉などがやりやすいと思います。


おまけ:今回のコーディネーターさんとのやりとりの中で「臨床とCMCの両方をできる翻訳者さんはなかなかいない」というお話を聞きました。色々な分野に対応できるように各分野の基本的・専門的知識を習得するよう努力していればいいことがあるかもしれません(*^-^*)


◆◇◆ 今回のチップス  ◆◇◆


1) 他の翻訳者を早く探してもらえるよう、断るときほど返信は早く。

2)スケジュールが合わない場合は、無理をしすぎないで、品質(と自分の健康)を確保することができる日程や分量に調整してもらってから受注する(ただし、多少の無理は自分にとっても有益なので、どうしても担当したい案件は厳しめのスケジュールでも請ける)。

3)そのままクライアントに納品できるレベルの翻訳物(ケアレスミス、誤記、誤訳、表記ゆれなどがない。原文の誤りや裏取り調査の内容、訳語の選択理由、不明な点などについて適切なコメントを入れてある・・・etc.)の納品を目指し、後工程に手間がかからない翻訳者だという信頼を獲得しておく。

4)いろいろな分野に対応できるよう、多分野にわたって基本的・専門的知識を習得するよう努力する。





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フリーランスの翻訳者として仕事を始めたばかりの頃は、ほぼ1社だけから仕事を請けていたので、自分でスケジュールを管理する必要はありませんでした。翻訳会社の方でこちらの能力を見極めてくださり、コーディネーターさん達がちょうどいい分量の案件をちょうどいいスケジュールで発注してくださっていたからです。

その後、翻訳者さんの多くが複数の翻訳会社に登録されていることを知り、フリーランスたるもの、複数の取引先を確保しておいた方がよいという勧めもあって、新たにトライアルを受けて間口を広げたのですが、複数の会社から打診を受けるということは、どの案件を引き受けどの案件を辞退するのかを自分で決めて、自分でスケジュールを組まなくてはならないということです。これは、そうそう容易なことではありませんでした。

それまでの翻訳作業の記録から1日に処理した平均ワード数を計算して目安にしましたが、実際には、案件の内容によって1日に処理できる分量に大きな差があり、単純に分量と納期だけで判断して受注してしまうと、納期に間に合わなくなることがありました。

例えば、大型の案件であれば、作業が進むにつれて調べ物があまり必要なくなって翻訳スピードがどんどん上がりますが、小さい案件ほど調べ物に費やす時間の比率が高く、1日に処理できるワード数は少なくなります。原文がきちんと書かれた英文でなかったり誤りがあったりすれば、パズルを解くような不毛な作業に時間をとられます。知識のない分野だったために、調べる、理解する、確認するという作業に時間がかかって訳出が進まなかったことや、慣れないパワーポイントの上書き案件でレイアウトやテキストボックス処理に恐ろしいほど時間がかかったこともありました。

スケジュール管理に何度か失敗する中で、打診を受けたときには、分量と納期だけではなく、内容やどんな作業をするのかを十分に検討した上でその案件に対応できるかどうかを判断する必要があることを改めて痛感しました。

当然ながら、打診を受けた時点で原稿の内容を確認する作業には翻訳料金は発生しません。無償であっても原稿を本気で読めば勉強になるしメリットはたくさんあるのですが、打診案件が多いとそれだけでかなりの負担になります。1日に複数の打診があれば、コーディネーターさんとのメールや電話のやりとりにも思った以上に時間を費やしてしまいます。また、自分できちんと無理のないスケジュールを組んだつもりでも、関連する追加案件を引き続きやってほしいという依頼やクライアントから指名された案件が飛び込んでくることもあり、そちらを優先させたい場合には、受注済みの案件の担当コーディネーターさんに連絡して納期の延長やキャンセルについて相談する必要があります。

スケジュールを自分で管理するためには翻訳以外の雑多な作業をこなさなければならないので、スケジュールを管理してもらえるということは、取引先を1社に絞ることの大きなメリットだと思います。

また、取引先が1社だけであれば打診された案件を断ることはほとんどないので、いつでも対応してくれる翻訳者としての信頼を得ることができ、途切れることなく次々に仕事を紹介していただけることも大きなメリットではないでしょうか。

特に、フリーランス翻訳者として歩き出したばかりの方にとっては、適切なスケジュール管理の下で翻訳作業に専念してどんどん実績を積み重ねていけるということは、早い時期に自分の訳出スタイルを確立し処理能力を把握することにもつながるので、取引先を1社に絞っておくことのメリットは大きいと思います。

(私は今、主に2社と取引をしています。たった2社だけですが、正直なところ、スケジュールの調整は今でもやっぱり大変です。長期案件の作業中は打診案件の検討作業から概ね解放されるので、長期案件、大歓迎です *^-^*)





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在宅翻訳者として登録していただいている翻訳会社は2社ありますが、幸いにもどちらの会社も支払明細書を作成してくださるので請求書をつくる必要がなく、ひたすら仕事をしながら明細書が届くのを待つ日々です。

さて、先日届いた8月分の支払明細書。1つの案件の翻訳料が思っていた金額の半分ほどしかありませんでした。

英語から日本語への翻訳の場合、翻訳料は、訳文の400字を1枚として1枚いくらで計算されます。この案件は、ご発注いただいたときの見積もりが106枚でした。いただく見積もりはいつも正確で、仕上がり枚数と大きく違うことはめったにありません。それなのに、翻訳作業終了後の自己カウントでは128枚となり、ずいぶん増えちゃったなぁと不思議に思っていました。そして、それが、もっと不思議なことに、支払明細書では66.5枚に。

この案件は、医薬品の承認申請のためのCTD(Common Technical Document コモン・テクニカル・ドキュメント)の一部で、表だけのファイルが18に分かれていました。ファイル数が多いので、カウントの際に大きな間違いをしたのかと、急いで自分の訳文の文字数をカウントしなおしましたが、やっぱり128枚分。

担当のコーディネーター様に連絡し、確認をお願いしたところ、表中の英数字のみの箇所は支払いの対象外というお返事でした。お忙しいのに親切にカウントしなおし、修正履歴をつけて英数字のみの箇所を削除した訳文ファイルをメールで送ってくださったので、そちらのファイルをカウントしたら、なるほど66.5枚でした。

表中の英数字のみの箇所については、レイアウト担当者が一括変換によって作業するという決まり事を知らなかったための大きな誤算だった、というわけです。

この案件に関しては、英数字のみの箇所についても確認作業は行い、数字の並列部分のカンマを句点に変える、括弧書きの単位の括弧を全角に変える、E3を×10³に変える等の作業をしたことを伝え、今後、同様の案件については、翻訳作業対象外のご指示をいただけるようお願いしました。

めでたし、めでたし(?)



翻訳を仕事にしたいと思い立った当初、アメリア経由でトライアルを受けて登録した翻訳会社が2社。このときは全く素人の状態での応募でした。今思うと、本当に無知&無謀だったなぁと自分にあきれてしまいますが・・この後の3年半は仕事をこなすのに精いっぱいで、新たな登録のためのトライアルを受ける余裕はありませんでした(いつも仕事をいただけてたことに感謝!)。したがって・・トライアルについては今も初心者・・です。

私は獣医学が専門ですが、現在いただけるお仕事はほとんど医薬の分野なので、獣医学関連の仕事がしたいなーと、獣医学分野の翻訳者を募集している某社に応募メールを送ったのが2月のはじめ。お返事がないので、もうとっくにあきらめていたのですが、2ヵ月半経って返信をいただくことができました。

びっくりうれしくメールを拝見したところ・・宛名もなければ、社名、担当者名も書かれておらず、かすかな不安が・・?そのうえ、添付のトライアル課題は、分野の違う法律関係の文章です。このまま未知の分野のトライアルを受けるか、獣医学分野の課題をくださいとメールを送るか、ただいま考え中。うーーん、トライアルはキビシイものですねぇ。


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Kaho~☆

Author:Kaho~☆
フリーランス翻訳者
  (獣医・医薬分野/英日)
獣医学修士

自然大好き、全ての命あるものが好き。東南アジア大好き(シンガポール在住歴あり)。動物病院で獣医師として勤務していましたが、2009年からフリーランス翻訳者として活動。

twitter ID:Naturekkp
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