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参考資料としていただいた過去訳の生殖発生毒性試験に関する記述の中で、"time-mated rats"が「適時交配したラット」と訳出されていました。

・・・適時交配したラット・・・とな?

英語の文献等を調べてみると、特定の日に交配が確認された動物を繁殖業者から購入する場合に”time-mated animals”という表現が使われていて、time-matedの動物を試験に使用する場合は妊娠6日や8日に投与が開始されることが多いようでした。

上記の過去訳にあった試験でも妊娠6日から投与が行われており、今回担当した案件の試験でも妊娠7日が投与開始日。どちらも、交配済みの動物を業者から入手して試験に使用した可能性が考えられました。

調べるうちに、”time-mated ”というのは、雌の発情期に合わせて雄を同居させて交配させる方法のことでもあるらしいことはわかってきましたが、残念ながら、Google検索では「適時交配」という言葉の使用例はあまり見つかりませんでした。

はて、繁殖業者が「適時」に交配して研究用に提供してくれる動物のことを、日本語ではなんと言うのだろう・・・と考えるうちに・・・あ・・・あれかな・?・・・と思い当たったのが「交配済み」。

OECD 414ガイドライン日本語訳でも「交配済み動物」と訳されていることもあり、今回は、コメントを付けた上で「交配済み」と訳出しました。

下記コメント欄で、"time-mated animals"に関するご意見や情報を共有していただけましたら幸いですm(__)m


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健康な動物を用いた非臨床試験の報告書で、"treatment"が「治療」と訳出されていました。

"treatment"は治療を指すことが多いのは確かですが、開発中の新薬の臨床試験や非臨床試験に関する文書では、「治療」と訳出すると誤りになることがあります。

例えば、新薬の臨床試験は、個々の患者さんの治療を目的としているのではなく、その薬の安全性や有効性を評価するための試験なので、治験実施計画書に従って治験薬が投与されます。この場合の"treatment"を「治療」と訳すのは誤り。普通は「投与」と訳出します。

臨床試験の前に行われる動物を用いた非臨床試験でも、同様の理由で「投与」とします。

ただし、このような文書の中でも"treatment"が「治療」の意味で使われていることもあるので、内容をよく理解してから、適切な訳語を選択しなければなりません。

ちなみに、上記の非臨床試験は、開発中の治療用カテーテルを健康な動物に使用してその安全性を評価するための試験だったので、「治療」でも「投与」でもなく、「処置」と訳すのが妥当だと思います。



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安全性上の懸念などのために臨床試験に参加することができない患者さんの条件を規定する「除外基準」の項目で、"Known abnormalities in XXX."が「XXXにおける既知の異常。」と訳されていました。

knownは「既知の」と訳すとうまくいくことが多いのですが、この場合はどうでしょうか。

除外基準の項目であることを考えれば、AAAに異常がある患者さんが除外の対象になることは推察できると思いますが、「AAAに起こることが知られている異常」のような意味にもとれなくはなく、明確かつ簡潔であるべき除外基準の訳としては、あまりふさわしくないように思えます。

ただ、ウェブ検索をすると「既知の〇〇感染」や「既知の〇〇過敏症」なども実際に使われており、現場ではOKの表現なのかもしれません。以下は、1翻訳者の個人的な意見です。

上記のようなknownは、文脈に応じて「~が確認されている」、「~の既往がある」のようにするとすっきりします。

"Known abnormalities in XXX"なら「XXXの異常が確認された患者」、"Known AAA infection"なら「AAA感染が確認されている患者」、"Known hypersensitivity to BBB"なら「BBBに対する過敏症の既往がある患者」などなど。



蛇足:
除外基準の英語原文は、項目によって"Patients who ..."、"Known ..."、"No history of ..."など、表現に一貫性がないことが多いのですが、和訳する際には、できるだけすべての項目を同じスタイルにするのがいいと思います(「~の患者」に統一する等)。




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治験の同意説明文書の邦訳版で"human safety"が「ヒトにおける安全性」と訳されていました。

「ヒト」は生物分類学上の標準和名で、人間を「動物種」として扱うときに使用する学術用語です。同意説明文書での "human" は一般に、「ヒト」ではなく「人」または「人間」と訳します。

"human safety" は、医薬品の開発や承認申請に関連した通常の文書であれば上記の 「ヒトにおける安全性」 のように訳出しますが、同意説明文書の場合には「人に対する安全性」や「人での安全性」の方が適切だと思います。

また、この同意説明文書の邦訳版では、"this drug"が「本剤」、"treatment group"が「治療群」と訳されていましたが、同じように、 "this drug"は「本剤」ではなく「この薬」、"treatment group"は「治療群」ではなく「治療グループ」などの方がいいと思います。

同意説明文書の読み手は治験に参加するかどうかを考えている患者さんなので、医療の専門家でなくてもわかりやすく違和感を感じることがない用語を選択し、誤解を生じたり複数の意味にとれたりするような表現を避けて丁寧に訳出する必要があります。「治験 同意説明文書」で検索すると、病院や各種機関で作成された同意説明文書のひな形が多数ヒットするので、たくさん読んで自分の好きな同意説明文書の訳し方を見つけておけるといいですね(*^-^*)。







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非臨床試験の報告書には、試験系(被験物質を投与した動物や細胞、微生物など)の情報が明記されます。試験系が動物である場合は、動物種や系統、供給元、性別、体重などの項目に加えて、必ず "age" が示されています。

マウスを用いた試験の報告書で "age" が「年齢」と訳出されていたのですが、寿命2~3年のマウスに対して「年齢」という表現は適切でしょうか。

供試動物の "age" は、マウス、ラット、モルモットなら「週齢」、ウサギ、イヌ、サルなら「月齢」で記述されていることが多く、試験の内容によっては「日齢」や「年齢」の場合もあります。

"age" は「年齢」だけを表すものではないことを心に留めておくとよいと思います。











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かほ☘

Author:かほ☘
フリーランス翻訳者
  (獣医・医薬分野/英日)
獣医学修士

自然大好き、全ての命あるものが好き。東南アジア大好き(シンガポール在住歴あり)。動物病院で獣医師として勤務していましたが、2009年からフリーランス翻訳者として活動。

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