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遠い昔、まだ小さかった息子達と「exicite翻訳」という機械翻訳サイトで遊んだことがありました。当時のexicite翻訳はあまりにも突飛な日本語訳を出してくるものだったので、笑いのタネとして利用w。何が出るかな?何が出るかな?とみんなでわくわく・・・そして・・・期待を裏切らないおもしろ訳にお腹を抱えて大笑いしたものでした。その後、機械翻訳の技術は進歩し続けていますが、それ以降は機械翻訳を利用する機会がほとんどなく、残念ながら、「ニューラル機械翻訳(NMT)の登場によって機械翻訳の精度が飛躍的に向上した」ことは実感できていませんでした(^_^;)。

昨今の機械翻訳の進化に伴い、翻訳会社の顧客の間でも、時間と費用の両面でコスト削減が期待できる機械翻訳導入への要望が高まっているとのことで、先日、機械翻訳の導入を検討する機会をいただきました。いま話題になっているNMTについてはウェブ上でも情報がたくさん得られるので、ここでは、個人的な機械翻訳体験の経緯と感想をごく簡単にメモしておくだけにしようと思います。

NMTについては少しずつ情報収集や意見交換を行ってはいましたが、身近に押し寄せてくるのはまだまだ先だろうと思っていたので、真剣さに欠けていました。今回、機械翻訳導入を検討することになり、やっとはじめて、無料で使用できるNMT(みらい翻訳、Google翻訳など)でどのような訳文が生成されるのかを試してみました。

無料で使用できるNMTの訳文は、全体として逐語的であるだけでなく、前後関係や理論的なつながりの欠如、選択される訳語の誤りや表記の揺れ等、問題点もかなり多く、ポストエディットで通常の翻訳時と同等の品質を確保することは新規に翻訳するよりも大変な作業のように思われました。翻訳会社には、NMTのアウトプットに対する率直な感想と併せて、機械翻訳のポストエディットは翻訳とは異なる作業だと考えている旨を伝え、機械翻訳導入の目的や作業方法について、さらに詳しく説明していただきました。

いろいろと不安はありましたが、翻訳会社のご尽力による検証とご判断を信頼したい気持ちもあり、やってみないことには判断のしようもないので、機械翻訳を使用する練習案件を実際にやってみることにしました。練習案件は1000ワードにも満たないミニ案件で、納期は自分で設定、お支払いは、翻訳会社が予定している課金率を適用したもの(通常の翻訳料よりわずかに低単価)でした。

機械翻訳は現段階でも、原文の意味を理解して翻訳しているわけではないので、翻訳者が内容を理解して作成する訳文とはかなり異なっているように思いました。このため、機械翻訳のアウトプットを修正していくのではなく、通常の翻訳を行いつつ機械翻訳のアウトプットの使える部分を利用するようにしました。このミニ案件の作業中に感じたのは、下記の4点です。

■「Google翻訳」や「みらい翻訳」などの無料で使えるNMTに比べると、訳文は比較的流暢で読みやすく、適切な訳語が選択されていることが多い。
■"XX including A, B, and C"が、実際は「Aを含むXX、BおよびC」であるのに「A、B、Cを含むXX」と訳出されている等、内容が理解できていないと判断が難しい箇所では誤訳がみられる。
■入力の手間が省けるという点で少しだけ作業が効率化。
■出力された訳文が比較的流暢なだけに、内容を理解した上で翻訳にあたらないと、誤訳を見逃してしまう危険がおおいにある。


参考:
下記の記事はとても簡潔でよくまとまっています。機械翻訳についてほとんど何も知らない、という方は是非ご一読ください。
機械翻訳の現状と対処法(バベル翻訳大学院(USA)小室 誠一)




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翻訳を行うときは、まず、提供された背景情報や原文に基づいて「想定される読み手」やその文書の「使用目的」などを把握し、文体、言葉遣い、文章の硬さ(柔らかさ)などの翻訳スタイルを決定します。翻訳作業を進めるときには、想定される読み手、文書の使用目的、あらかじめ決めた翻訳スタイルに合わせて用語や訳語を選択します。

医薬分野の英日翻訳では、想定される読み手(研究者、医師、規制当局、患者さん、一般の方、製薬会社の社員など)も使用目的(学術論文、医薬品等の承認申請資料、社内向け資料、患者さん向け文書、ウェブページに掲載など)も明確であることが多いので、翻訳スタイルをどうするかは比較的容易に決めることができると思います。

けれども、医薬翻訳で登場する用語には特殊なものが多く、用語や訳語の選択はそうそう容易ではありません。ガチガチの専門用語であればそれなりの辞書に載っていると思いますが、辞書を引いただけではわからないことや、よく知っている単語なのに(一見簡単な単語ほど)文書の種類や文脈に応じた適切な訳語は何なのか判断が難しいことはよくあります。

悲しいことに、翻訳会社から参考資料として提供された過去の類似案件や改訂前の前版の訳文、また、ウェブ検索で見つけた邦訳版らしき文章にも、適切ではないと思われる訳語が残っていることが多々あります。これは笑い話ではなく・・・翻訳者、翻訳会社、クライアントが厳重にチェックしたはずの確定版の訳文で"active transport"が「活発な輸送」になっていることもありました(文脈から「能動輸送」であることは明らかでした)。

誰でも知っている簡単な単語でも、常に意識して適切な訳語を選択するよう注意しなければなりません。例えば、"dog"は 非臨床試験についての文書では動物種としての「イヌ」であり、「犬」ではありません。"increase"は「増加」としてしまいがちですが、血中濃度や血圧なら「上昇」とするべきであり、ほかにも「亢進」、「増強」、「増大」、「拡大」、「向上」 などが適切であることもあります。辞書に載っているからと確認せずにそのまま使うと、上記の「活発な輸送」のように大きな間違いになってしまうかもしれません。簡単な単語であっても、書籍やコーパス、ウェブ検索等を使って、文書の種類や文脈に応じた適切な訳語であるかどうかを確認する習慣を付けておくといいと思います。


追記:
このブログでは、辞書に載っていない語や、辞書にある訳語を安易に使用してはならないなどのために誤りやすいと思われる訳語・用語の選択について、気がついたものから少しずつ記事を書いています(左カラムのカテゴリ欄、「訳語・用語の選択」。該当する記事があれば、右上の「検索フォーム」から検索することもできます)。いつかどこかで誰かのお役に立てたらいいなーと願いつつ (#^.^#)




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和訳案件の打診メールに、「意訳はなるべくしないでください」という指示事項がついていたことがあります。
翻訳をするにあたって意訳をするのは好ましくないことなのでしょうか。

さて、「意訳」というのはどういう翻訳なのでしょう。

広辞苑(第六版)に「原文の一語一語にこだわらず、全体の意味に重点をおいて訳すこと。また、その訳したもの。 」と説明されているとおり、原文に使われているそれぞれの単語の意味や文章の内容、含意まで(「意」)を把握して、その「意」が最も正確に伝わるように訳出することだと理解しています。そうであれば、意訳をしない翻訳は、「翻訳」とはいえません。

ちなみに、広辞苑(第六版)では、「意訳」の対義語として「直訳」という言葉が挙げられていて、「外国語をその原文の字句や語法に忠実に翻訳すること。」と説明されています。ただ、文章の内容よりも一語一語の置き換えを優先しかねないこのような訳し方は「逐語訳」と呼ばれるものであって、「直訳」というのは「文章の内容を直接忠実に訳出すること」だと、いい意味に解釈している翻訳者さんもおられるようです。

単語の一つ一つを置き換えて逐語的に訳出した訳文はたくさんみられますが、訳文だけを読んだときに意味がわからない文章が多く、逐語訳で内容を正確に伝えることは難しいと思われます。

私は、内容が難解でどうしても理解できない場合に逐語的に訳出し、次の工程で確認していただくようお願いすることはありますが、基本的に「意」を訳出するスタンスをとっているので、「逐語訳」が求められている案件はお引き受けすることができません。

「意訳」については人によっていろいろな解釈があり、上記の打診の指示では、単純に「勝手な解釈を加えない訳文」が求められているのか、「原文が思い浮かぶような逐語的な訳文」が求められているのか、それともまた何か別のものが求められているのかを判断することができませんでした。

この案件はトライアル翻訳(クライアントがこの翻訳会社に翻訳を依頼するかどうかを判断するための試訳)だったこともあり、「意訳はなるべくしない」という指示に適切に対応する自信がない旨を返信したところ、「社内でも話し合いをしておりまして、いつも通りに翻訳していただいて結構です」というお返事をいただきました。クライアントからの(ちょっと曖昧な)指示だったらしく、翻訳会社の方でも検討してくださったので安心して受注することができ、トライアルにも無事合格、ほっと胸をなで下ろしたのでありました。

いい意味での「意訳」(文章全体の「意」が最も正確に伝わるように訳出すること)と、いい意味での直訳(文章の内容を直接忠実に訳出すること)はどちらもほぼ同じことを意味していて、これが「翻訳」という作業なのだと思います。



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今回の案件は、国際的な医療基金のニュースレターでした。

最初の下調べの段階で、日本の某社会福祉法人のHPに日本語翻訳版がモロ掲載されてるのを見つけたのですが、専門用語や固有名詞の調査が全然されてないようだったので、参考にはならないなぁと放置して作業を進めました。

翻訳作業が終わり、やっぱり気になったので(笑)、「あの」日本語翻訳版をゆっくり確認したところ、どうもスラスラ読めない・・。あまりにも原文の語順に忠実に、しかも短い文章の連続や重複もすべて原文どおりに訳出しているせいか、日本語の文章としての流れがブチブチ途切れてしまっています。それに、"this"なら「これは」といった具合に、これまた原文に忠実に訳出されているので、ときどき立ち止まって何を伝えたいのか考えなければなりません。こういう文章を読むのは、結構な苦痛だったりします。

専門分野で使う「ふつうの単語」にあてた訳語が適切でないことや、主語と述語がマッチしていないことも、読んでいて「あれ?」と引っかかる原因になりますね。

おまけに、中学か高校で習ったはずの割合初歩的な構文の解釈にもミスが散見され、文章の内容が矛盾してしまっています。こういう箇所は、原文を読んでいない人にはどうしても理解できないだろうなぁ・・。

せっかくの日本語版が、読みながらつっかかる、読み終わってもよくわからない、では悲しいですね。Webで公開する前に、流れるように読める理解しやすい文章になっていることを確認する誰かがいてくれたならと、他人事ながら。



現在2社のエージェント様からお仕事をいただいていますが
1社ではときどき
複数の翻訳者に同時に打診、ということがあります。

それぞれの翻訳者の受注の可否、単価を含めた受注条件を検討して
誰に発注するかを検討されるようです。

これまでスケジュールが合ったことがなく
いつもお断りするほかなかったのですが
今回、初めて「対応可」と返事をしました。

優秀な翻訳者様がたくさんいるのだろうから
私には来ないだろうなーと
単価をちょっと高めに書いたりして。

結果
(単価をちょっと下げて)引き受けることになりました。


◆「好きな分野なので、是非お引き受けしたい」と書いたの、よかったのかな
◆打診のメールをもらってすぐにお返事したのがよかったのかな

と、よかったらしきポイント2つ(*^-^*)

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Kaho~☆

Author:Kaho~☆
フリーランス翻訳者
  (獣医・医薬分野/英日)
獣医学修士

自然大好き、全ての命あるものが好き。東南アジア大好き(シンガポール在住歴あり)。動物病院で獣医師として勤務していましたが、2009年からフリーランス翻訳者として活動。

twitter ID:Naturekkp
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